Singles 25年4月号 チュ・ジフン
「与えられた課題のために自分の役割を全うすることです。大衆文化芸術に正解はありませんが、『間違ったもの』はあると思ってます。間違わないために時代を読む努力」
誰よりも忙しい日々を過ごされていますが、今日の撮影はいかがでしたか?
嬉しかったし、楽しかったです。また、今日一緒に撮影したキム・ヨンジュンフォトグラファーとはとても親しい間柄で、ヨンジェがモデルをしていた時、ヨンジュン兄さんが当時のメインフォトグラファーのアシスタントだったんです。ほとんど一緒に育ちました。(笑)
俳優として活動して来年で20周年になりますが、その間に時間が経ち、いろいろなことが変わりました。でも、チュ・ジフンはいつも変わらないですね。どうすれば、そんなに独自の重心を持ち、自分らしく振る舞い、話すことができるのでしょうか?
率直さと無礼の境界線を正確に見極めるようにしてます。無礼にならないように、必要なことを率直に、そして効率的に伝えるようにしてます。
タイムピースには正確さが重要ですよね。これまでチュ・ジフンが作品や作品以外で見せてくれた姿は、とても一貫性があり、正確だと思いました。自分の考えを明確な言葉で伝え、表現する方法。チュ・ジフンは、自分が何をしたいのか、与えられた環境でやるべきことを正確に実行しているように思います。自分自身もそう思うのでしょうか?
その質問に対する答えは、僕よりも周りが的確に判断してくれるのではないでしょうか。僕はただ、そうしようと努力するほうです。もちろん、そうでない時もありますが、(笑) 僕にとって職場は徹底的なコラボレーションで、ちょっと大げさな言い方をすれば、悲惨なほど僕一人でできることがないんです。作品に入るとき、多くの場合、100人以上のスタッフの努力で作られるキャラクターなので、自分の役割を果たすためには、自分に与えられたミッションが何なのかを正確に把握して実行するのは当然だと思います。
そのようなチュ・ジフンの正確さと自然さが、作品では巧みで信頼できる演技に現れていると思います。自然な演技に人々は没頭しやすくなります。吸引力のある俳優ですが、最近、俳優として記憶に残る没頭の瞬間はいつでしたか?
Disney+「照明店」で初めてお父さん役を演じました。経験のない領域だったので、漠然とした気持ちで臨みました。作品の後半に娘のイ・ジョンウンさんが電球を頼みに来るシーンが僕にとっても重要なシーンなのですが、そのシーンを撮影する前に少し待ち時間がありました。その間、没入感が途切れたり、感情が吹き飛ばされるのではないかと心配したのですが、それは間違いでした。感情を無理矢理作り出す戦いではなく、我慢する戦いでした。ジョンウン先輩がドアを開けて照明店に入った瞬間、崩れ落ちる感情を感じながら一瞬で没入できました。
大人になった娘と約40年ぶりに再会するシーンでしたね。自分の作品や映像を熱心にモニターして研究するほうですか?それとも、その瞬間に最善を尽くして、後悔なく流すほうですか?
もちろん、モニターはしますが、僕を研究するのではなく、僕が参加した作品が伝えたいメッセージが意図どおりにうまく伝わったかどうか、全体像をモニターすることに近いです。その過程で足りないところが見つかれば、それにとらわれることなく、補完すべき点を学習しようとします。
演技に対する変わらぬ情熱のおかげでしょうか、最近ではNetflix「トラウマコード」のヒーロー、ペク・ガンヒョク役で第2の全盛期を迎えていますね。最初に台本を受け取ったときはどうでしたか?
マンチキン、爽快だ、詰まらない、現実でもこういうリーダーが欲しいんじゃないかと思いました。そして、僕が主人公というよりは、「トラウマコード」という作品を一つの人格体として見たと思います。作品の中で主役、脇役の区別なく、バランスと調和がとても重要な作品だと感じましたね。
そうですね。「トラウマコード」が大衆的に愛されたのは、ペク・ガンヒョクとヤン・ジェウォン、チョン・チョンミが作る師弟間のケミストリーがあったからです。劇中では教授であるように、実際の現場でも後輩俳優の先生役として、また別のケミストリーを作り上げたのではないかと推測しました。現場での後輩たちとの呼吸はいかがでしたか?
二人だけでなく、麻酔科のパク・ギョンウォン先生役のチョン・ジェグァン俳優まで、撮影前からみんなで本当に激しく勉強して準備しました。週に1~2回、一度集まれば少なくても7時間、多くても12時間、お互いに合算して勉強しました。後輩たちの熱意がキラキラと輝いていてきれいでした。僕を困らせないでほしいと思ったのですが、実際はどうだったのかよく分かりません。(笑) 撮影の後半に行くにつれて、物語とともにその子たちの成長が目に見えて、誇らしく、ほっこりしました。
ペク・ガンヒョク教授は、人を生かすことに対しては、どんな手段も重要ではないと思うほど激しい信念を持っていますよね。役者として大切にしている信念や価値観は?
与えられた課題のために自分の役割を全うすることです。大衆文化芸術に正解はありませんが、「間違ったもの」はあると思います。間違わないために時代を読む努力。
以前、同じ食べ物を食べると次は違うメニューに目が行くように、前の作品と似たような作品はあまり選ばないという話を聞いたことがあります。放送時期と撮影時期の違いはあると思いますが、そう考えると、毎回作品ごとに新しい試みを続けてきたように思います。「支配種」の次は「愛は一本橋で」、「神と共に」の次は「暗数殺人」で、作品ごとにキャラクターの落差が大きいですが、ご自身もそれを楽しんでいるのでしょうか?
同じメニューを繰り返し食べないからといって、毎回全く違う種類の食べ物ばかり食べるわけではありません。重要なのは、どんな作品やキャラクターでも、その中で新しい要素を発見することだと思います。次の作品を選ぶとき、前作との類似性を考慮するのももちろんですが、それよりも、僕が作品やキャラクターへのアプローチの仕方を繰り返さないようにするために、そのような選択をするようになったと思います。キャラクターの落差というのも、結局はその変化の延長線上にあると思います。楽しむというよりは、自然にそうなってしまうのです。
チュ・ジフン俳優のキャラクターの転換で最も大きな落差をもたらした作品は、個人的には「暗数殺人」でした。今まで知っていたチュ・ジフン俳優の姿とは違うように感じました。演技者自身は、演技人生に新たな可能性を開いてくれたと思う作品はありますか?
特定の作品が「決定的だった」というよりは、毎作品が少しずつ変化を作りながら今の流れを作ったと思います。でも、あえて挙げるとすれば、個人的には映画「コンフェッション 友の告白」が大きな変曲点でした。それまでは物語をリードする機能を主にやっていたのですが、「コンフェッション 友の告白」を通じて、感情的にもっと複雑で立体的な人物を演じる機会ができました。市場で僕の使い道が少し広がったきっかけとなった作品です。
キャラクターの変化を繰り返していると、スタイルやアイデンティティに混乱する俳優もいますよね。チュ・ジフンにもそんな時期があったのでしょうか?
僕はそのような混乱はありませんでした。そもそも「自分が一番得意なことは何だろう」というような質問を自分自身にしない性格なので、俳優は与えられた環境で最善を尽くす職業で、作品ごとに求められる能力が違います。僕はその注文にできるだけ合わせながら、少しずつ自分のスタイルを見つけようとしてます。むしろ、特定のスタイルや方法に固執する方が危険ではないでしょうか。変化していく過程が自然であれば、そこでわざわざアイデンティティを考える必要はないと思うんです。
「愛は一本橋で」は、久しぶりのチュ・ジフンのロマンチックコメディ作品で嬉しかったです。久しぶりのロマンス作品、いかがでしたか?
「愛は一本橋で」を愛聴してくださった方は共感されると思いますが、このドラマは葛藤が少ないです。ここ数年、韓国だけでなく、世界的に大きく笑うことがない雰囲気でしたよね。少しでもヒーリングができる作品になればと思い、撮影しました。「愛は一本橋で」の撮影前にアクションが多く使われるジャンルの作品を続けてたので、僕も撮影しながらヒーリングを受けました。
今は別の次回作を撮影中ですか?それとも少し休息を取っているのでしょうか?
最近どうですか?僕にとっては次の作品を準備することが休息です。このインタビューが読まれる頃には、おそらく次の作品の撮影中ではないでしょうか…
次回作はペク・ガンヒョクとどれだけ、どのように違うのか楽しみです。次回作について少しヒントをくれるとしたら?
欲望です!